●報告①:『愛とロマンの最賃運動 Ver2』
服部恭子さん
きょうとユニオン書記長

今、最低賃金が大きく注目されています。石破総理は2020年代に1500円を掲げていますが、2020年代はあと5年。現在の加重平均が1055円ですから5年間で445円引き上げる必要があります。年平均89円の引上げです。昨年「徳島ショック」と驚きをもって評された徳島県の引き上げ額は目安を34円上回る84円増の980円でしたが、これから毎年全国で最賃ショックが起きることになります。石破首相は5月中を目途に1500円に向けたロードマップを作成するようにとの指示を出したと言われていますが、さて、どうなることか?
最低賃金をめぐっては様々な論点があります。まず、金額の問題。①諸外国と比べて低すぎる。②憲法25条との関係で低すぎる。③ILO条約「…労働者と家族の必要…」に満たない。etc 次に、地域格差の問題。最高の東京都(1163円)と、最低の秋田県(951円)では212円もの差があります。最低賃金の差が、都市部への人口集中と地方の過疎化の大きな原因となっていること。同一賃金同一労働の原則から逸脱していること。最低賃金と言えば、中小零細企業の問題と思われがちですが、最低賃金近傍で多くの労働者を雇っているのはむしろ大企業。例えば郵政、例えばイオン、大企業の製造業でも、介護・医療の分野でも最低賃金近傍で働く非正規雇用労働者がたくさんいます。名だたる大企業が収益を伸ばし、内部留保が600兆円を超える状況は、低すぎる非正規雇用の賃金で搾り取った結果。格差が拡大し続け、貧困が喫緊の問題になっているいまこそ、最低賃金の様々な論点を深掘りして、賃金の底上げにつなげていく運動の在り方を考えていきたいと思います。